商社で身についた習慣

第2回では一般的な心構えをお伝えしましたが、今回は私自身が商社在勤時から今日まで励行している事柄をご披露いたします。何かのヒントになれば幸いです。

1.「日記を書くこと」

小学校の頃、夏休みの宿題の定番は日記でした。毎日同じことばかり書いていてはつまらないので、嘘にならない範囲で作文したことを思い出します。その後の学生生活では日記とはほとんど縁がありませんでしたが、商社に就職して新人教育期間の約半年ほど業務日誌を直属上司に毎日提出させられ、事務処理結果、面談者名、トラブル等々を簡潔に報告する手法を覚えました。

その後、必要に迫られて毎日必ず日記を書くようになったのは、インドネシアの合弁会社に出向してからです。毎月、日本の本社へ業務月報を提出する必要があったため、資料として当月中の出来事を日々記録しておかねばなりません。この約4年間の出向中に日記を書き続けたことが、その後の習慣となり今日に至りました。

2.「日経新聞を読むこと」

商社で営業部門に配置転換された際、直属上司からは「日経新聞を毎日必ず読みなさい」と言われました。同僚達も日経を各自持参して自分の仕事に関係ある記事を丹念にチェックしていたようです。

私も日経の購読歴は50年を超えましたが、重要記事のスクラップを毎日欠かさず実行しており、上記の日記と併せて大切な日課となっています。毎月末に当該1カ月分のスクラップを取捨選択し、特に重要と判断した記事のみを更に1カ月間保存します。そして、翌月には前々月のスクラップは思い切って整理しています。

なお、日経の他に担当業界の専門紙にも目を通しておくことが必要です。私がセメント部に在勤していた際には『セメント新聞』を自前で購読しました。もちろんオフィスにも業界紙は配達されていましたが全員に回覧されるので、あえて自腹を切って入手しました。メーカー筋との商談の際に専門紙知識が役に立ったこともありました。最近の若い方々は英語も練達のようですので『ジャパンタイムズ』にも挑戦なさるようお勧めします。

1958年三井物産入社:星野 仁一