ひとりの商人、無数の使命

「ひとりの商人、無数の使命」

皆さんは、このことばを聴いたことがありますか?実は、伊藤忠商事が2014年6月に発表したコーポレートメッセージです。伊藤忠商事の経営理念は「豊かさを担う責任」です。「商い」とは必要としている人がいて初めて成立するもので、時代とともに変化する多様なお客さまのニーズや社会の変化に対応しながら、世の中に「豊かさ」を提供していくことが伊藤忠商事社員の原点としています。

創業は1858年、初代伊藤忠兵衛がほんの15歳で近江(現:滋賀県)から大阪経由、遠く長崎まで麻布(まふ)の持ち下りをしたことがスタートです(※持ち下りとは出張卸販売のようなものです)。伊藤忠商事に脈々と受け継がれるその近江商人の経営哲学は、「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」です。自分の利益だけではなく、関わるすべての人にとって善いこと、それが商いにとって大切だという意味です。これは今の私達個人の生き方にも通じるものだと思いませんか。

モノを右から左へ運ぶだけでなく、ブランド力を高める商社へ

伊藤忠商事は非資源分野でNo.1を目指し、2014年3月期では純利益3,000億円を達成、商社でNo.3の地位で現在活躍をしています。商社がトレードで単にモノを右から左に運んでいたのは昔のことです。現在では、そのモノに商社の持つ幅広いビジネスがさまざまな角度から積極的に関わることで付加価値をつけ、さらに強いブランドを育てています。

そういえば皆さんもご存知かもしれませんが、バナナで有名なDole社の加工食品事業も2012年に伊藤忠が事業買収を行い、Dole社と伊藤忠のネットワークを融合し、商品の販売拡大や新商品の開発などを行うことでさらにブランド力を強めていこうとしています。それは、「繊維」「食料」「機械」「金属」「エネルギー・化学品」「住生活・情報」といった6つのディビジョンカンパニーが相乗効果を起こすことができるからでしょう。

温かみも持ち合わせる「野武士集団」

伊藤忠商事の社風としてよく言われるのは、「自由闊達」「野武士集団」です。個人個人が個性的で自由に意見を言える環境ですので、上司・部下間の距離が近く感じるかもしれません。また、自分なりの意見を言うことは決して悪いことではなく、周りも聴いてくれる社風です。野武士たちは、互いに温かみも持ち合わせています。

社内では上司に対しても「さん」付けです。メールでも「さん」が日常に使われています。私は伊藤忠商事を退職後キャプランで働いていますが、先日伊藤忠のある方にアポイントをお願いするメールをお送りしました。私にとって伊藤忠はお客さまですので当然のように肩書と丁寧な文章を添えてお送りしましたところ、「鈴木さん、宛名は○○さんでいいですよ」とわざわざご連絡をいただきました。

また、メールの返信の早さも他社に比べて早いのではないかと思います。上司から「了解です」と、たった「4文字」が、ささやかなメールに対してでも“読みましたよ”という想いで返ってきます。この習慣は、今の社会に無反応が広がっている中で私自身にも嬉しさを届けてくれています。

「やってみなはれ」精神でチャレンジを

転職を決断された皆さんにとっての働きたい会社はさまざまだと思います。伊藤忠商事では、「広い視野を持って働きたい」「海外を感じて働きたい」「常に新しいことに挑戦したい」、何よりも「わくわくしながら働きたい」、そんな方々にとっては楽しくて仕方がない会社になるのではないでしょうか。皆さんが1つの小さな課に所属した場合でも、貪欲に知識の幅を広げたい方にとっては仕事をしながら広範囲な情報を得られ、世の中の動き・スピードを肌で感じられることでしょう。

決められたことに満足することなく、常に新しいことにチャレンジし、仕事の枠や人間力を広げたいと思う人にとっては厳しいながらもやりがいを感じることができるでしょう。そうです、近江商人の「やってみなはれ」の商社です。

読んでいただいた皆さまへ

転職は沢山のエネルギーが必要ですので、先の人生を考えると慎重になって当然です。残念ながらインターンなどはありませんので、ご自身で得た情報を元に決めるしかありません。考えて考えた上でも一歩踏み出す勇気を出すことがむずかしい場合もあります。その際には、「やってみなはれ、やらなわかりまへんで」こんな近江商人の声を思い出してみることもひとつかもしれません。

伊藤忠で25年間働き、今現在キャプランで働いております私が伊藤忠商事のほんの一部ですが紹介させていただきました。商社で就業を目指される皆さまに沢山ある商社の1社ではありますが、少しでも雰囲気を身近に感じていただけたら嬉しく思います。

伊藤忠商事に興味を持たれた方はぜひホームページをご覧ください。新コーポレートメッセージとともに活躍する社員の広告や、社内に6つあるカンパニーの活躍、そしてテレビCMなど動画も含めたわくわくするメッセージが発信されています。

伊藤忠商事出身:鈴木 馨