思いもよらぬ展開

突然訪れた海外赴任

「巡航見本市船さくら丸」の旅から戻り業務部振興課で通常業務に携わっていた某日、業務部長の席に呼びつけられ、何の前触れもなくいきなり「ホノルルへ行ってくれ」と告げられました。私はとっさに「見本市」のアテンドかと思い「ハワイで見本市ですか」と応答したところ、「出張ではなく転勤だよ」と部長から明言され一瞬驚きました。ホノルルに当社の出張所が存在することは承知してはおりましたが、現地でどのような仕事をしているのか詳しい状況についての知識はゼロでした。

ちなみに、当社の若手社員達は誰しも将来の海外勤務を夢みてはおりましたが、希望する赴任先は欧米先進国の主要都市がほとんどであり、米国内とは言え「離れ島」のハワイは度外視された存在でした。ハワイと言われて連想するのは、太平洋戦争勃発の真珠湾攻撃、パイナップル、ハワイアンミュージック、フラダンス、アロハシャツ、日系人二世・三世、新婚旅行で有名な観光地などなど、残念ながら当社の仕事とはあまり関係ないような断片的な知識の羅列でした。念のため「ホノルルではどのようなビジネスを担当するのでしょうか」と恐る恐る部長に確かめてみたところ、「来訪客の接待が中心」のひと言。その場では何となく消化不良的な気分ながら一応は「承知しました」と言うことで引き下がりました。

チャレンジと巡り合わせ

後ほど、日頃から面倒をみてくれている直属上司の課長に、上記の部長とのやりとりを打ち明けてアドバイスを求めてみました。課長は開口一番、「まさに適材適所の人事。今後の会社生活でも必ずプラスになるはず。頑張れ。」と大いに激励してくれました。

冷静になって再考してみましたが、私が少なくとも車両課での失敗後、復活を期しての社内報編集や広報宣伝活動で何とか頑張り培った対人折衝力や人脈などが、私にとって初の海外勤務となるホノルル店での仕事を通じて少しでも会社に貢献できるのではないかと判断し赴任しました。ホノルル勤務自体はオフィスの閉鎖により残念ながら4年足らずで終了となりましたが、千客万来の365日を経験し文字通りの「完全燃焼」を体験しました。帰任先が本店セメント部となり、くしくも営業部門に復帰が叶ったのも何かの巡り合わせではないでしょうか。

※本記事は匿名とさせていただきます。