2018年11月12日

ワイン造りの経験を積み、現在はツィント・フンブレヒトの輸出部長であるジョリーン・ハンター氏。ワイン造りの経験を活かしてテロワールの知識を深めた彼女に、ワイナリーの考え方や自然栽培・醸造の大切さ、日本料理とリースリングの合わせ方などについて、いろいろお話を聞かせていただきました。

Jolene Hunter is the export manager for famous Alsatian producer Zind-Humbrecht, but she also worked in the vineyard and in the winery. In this interview we are going to discover the philosophy behind Zind-Humbrecht wines, the importance of natural grapegrowing and winemaking and the best pairing between Japanese food and Alsatian Riesling.


インタビュー全文はこちら

本日はお越しいただきありがとうございます。

ありがとうございます。

ツイント・フンブレヒトに関して質問させていただきたいと思います。まずは、ツイント・フンブレヒトはさまざまなテロワールから色々なキュヴェを造っていますが、どういったスタイルを目指していますか、どういった考え方をお持ちですか?

はい、もちろん。アルザスは多様な土壌とテロワールを持っています。ツィント・フンブレヒトではそれぞれのテロワールの違いをワインに反映したいと思っています。ツイント・フンブレヒトは一つのテロワールだけに集中していないと思います。私たちの目的はアルザスの葡萄品種を使ってテロワールの多様性を伝えることです。

全てのテロワールを説明しようと思えば日が暮れると思いますが、お気に入りの「テロワール」はありますか?「そこで働きたい!」と思わせられる畑とか・・・

親はお気に入りの子供ないでしょう?とにかく、こちらの「クロ ヴィンスヴュール」の畑は私にとって、とても特別なテロワールです。畑に立つだけでも気持ちが落ち着きます。大きさは5.5ヘクタール、少し上ると森が広がります。森と石灰土壌のおかげで涼しい環境なので、クロ ヴィンスヴュール畑はヴィンテージ・葡萄品種・スタイルにかかわらず、とてもピュアな、清らかなワインを造れます。

こちらのワインは2015クロ ヴィンスヴュール リースリングですね。香りはまだ少しシャイですが、ミネラル感ははっきりしていて、酸味はとてもエレガントです。崩れた石のような感じがするので、「シャブリっぽい」と言えるぐらいのスタイルですね。適切な酸味のおかげで、素晴らしいフォーカスと風味の強さを楽しめます。お気に入りのテロワールはどこ?と聞かれると、確かにこのクロ ヴィンスヴュールを選びます。

畑では自然派葡萄栽培を活かしていると聞いていますが、どれぐらい大切ですか?

欠かせないことですね。弊社にとってビオディナミはとても大切で、20年前から使っています。弊社のワインはオーガニックとビオディナミを認定されています。テロワールの違いをはっきりと見せるためにとても重要だと思います。畑のバランスを保つためにとても役に立つ知識です。植物と微生物のバランスとか、葡萄樹の勢いのバランスとか。葡萄樹はバランスを取って成長しているから、バランスを取ったワインを造れていると思います。

ワイナリーでも自然な醸造方法を使っていますか?

もちろん、ワイナリーでも同じアプローチを取っています。たとえば、醸造の流れを太陰暦に合わせていますので、瓶詰は下弦の月の時期にしか行いません。澱引きも同じです。もちろん「自然派ワイン醸造」というのはあいまいな言い方でもありますね。私たちは野生酵母を使って3~12カ月の長い発酵を行います。二酸化硫黄 (SO2)を使用しますが、量は制限しています。それはワインを守るためです。それで日本、東京へ出荷した弊社のワインをおいしく飲んでいただけます。

アルザスワインはアジア料理にとても合うと思います。特にスパイシー料理ですね。日本料理の場合は何を合わせればいいでしょうか?

色々な料理を合わせられると思います。日本料理は多種多様で、地域によって変わります。私たちはアロマティックな葡萄品種を使っているので、華やかなワインを造っています。それと同時に北フランスなので、清らかさといい酸味もあります。リースリングは料理に合わせるときにフォーカスが必要です。つまり、マッチングにはかなり気を配る必要があります。とてもクリーンなワインなので、刺身と寿司はとても合うと思います。

もっとリッチな料理のときは、例えば天ぷらなどにはしっかりとしたピノグリが合うと思います。そして、華やかなゲヴュルツトラミネールは旨味が多い、醤油のかかった料理と一緒に美味しく飲めます。和牛にうまく合わせたことがあります。牛肉のジューシーさとゲヴュルツトラミネールのスパイシーは本当にぴったりです。

白ワインとビーフ!

そうです、白ワインとビーフ!斬新かもしれませんが、たまに伝統的なマッチングを繰り返すよりも、独創的な考え方を持っていいと思います。特に他国の(フランス料理ではない)料理の場合、全ての要素を考慮するべきですね。牛肉=赤ワインを考えなくてもいいと思います。例えばゲヴュルツトラミネールは鴨にもよく合います。わりとタンニンがあるので強い味に負けない葡萄品種です。

ありがとうございました。日本の皆さまに何かメッセージはありますか?

ここに来られて嬉しいです、とても光栄です。ありがとうございます。リースリングをもっと飲みましょう!

ありがとうございます。乾杯!

乾杯!

著者紹介

Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)

Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)

アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。

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