ワインの豆知識:フェニキア人とワイン

2023年9月5日

フェニキア人は地中海東部、現在のレバノンあたりで生まれた古代文明で、ワインの歴史と地中海全域への普及に重要な役割を果たしました。

ワインの歴史におけるフェニキア人の最も顕著な貢献のひとつは、交易拠点と植民地を築いた様々な地域にブドウ栽培とワイン醸造技術を広めたことです。熟練した船乗りであり貿易商であったフェニキア人は、古代世界の各地を結ぶ広大な海上交易網を築きました。彼らは交易活動を通じて、北アフリカ、南イタリア、シチリア、さらにはイベリア半島の一部といった地域にブドウの栽培とワイン醸造技術を伝えました。

フェニキア人はブドウの木の栽培とワイン醸造の知識をこれらの新しい領土に広めたとしばしば信じられており、これらの地域の文化的・経済的発展に永続的な影響を与えました。ワインは飲料としてだけでなく、貿易や文化交流における重要なツールとなりました。

さらに、フェニキア人はワインを貯蔵・運搬するための大きな土器であるアンフォラを開発したと考えられています。これらのアンフォラは、地中海を横断するワインの貿易において極めて重要な役割を果たし、異なる文化や地域間のワインの交換を促進しました。

フェニキア人がこれらの地域にブドウ栽培とワイン文化を導入する重要な役割を果たした一方で、それが実際どれほどの影響を及ぼしたのかは、限られた歴史記録文書しか存在しないことと、長い時間の経過により詳細には解明できていません。しかし、彼らの交易ネットワークと文化交流が、古代地中海におけるワイン文化の普及に貢献したことは紛れもない事実です。

著者紹介

Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)

Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)

アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。

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