2023年6月23日
エトナDOCはイタリア・シチリアの東海岸に位置し、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の麓にある評判の高いワイン産地です。ユニークな火山性のテロワールと伝統的な豊かなワイン造りをするということで、エトナDOCは優れたワインを生み出す魅力的な地域として注目されています。
エトナDOCのブドウ畑はエトナ山の斜面に広がり、海抜400から1,000メートルの高度にわたります。この標高と火山性の土壌は優れたワイン生産に貢献する特異な気候を形成しています。火山性の土壌にはカリウムや鉄などのミネラルが豊富に含まれており、ブドウにこの地独特の特性をもたらします。
エトナDOCでは主に固有の赤ブドウ品種であるネレッロ・マスカレーゼが栽培されています。ネレッロ・マスカレーゼは火山性の土壌で繁茂し、活気ある酸味、繊細なタンニン、赤系果実の風味を特徴とします。その優雅さや熟成能力から、しばしばバローロで使用されるネッビオーロと比較されます。また、ネレッロ・マスカレーゼに加えてネレッロ・カプチョ、カッリカンテ、カタラットなども栽培されています。カリカンテは白ブドウでさわやかな酸味と柑橘系の風味を持つワインを生み出し、この地域のワイン生産に多様性をもたらしています。
エトナDOCのワインは果実味、土壌の風味、鉱物感のバランスが素晴らく、赤ワインは赤いベリーやチェリーの風味と共にハーブのニュアンスがあり、白ワインは爽やかな酸味、繊細な花の香り、フレッシュな柑橘系の特徴があります。エトナDOCのワインはその優れた品質と独自のキャラクターで国際的な評価を得ています。この地域のワイン生産者は持続可能な栽培を実践し、ワインの正統性を保護しています。
エトナDOCのワインを探索することは地質、気候、ワイン醸造技術を垣間見るエキサイティングな旅です。シチリアのユニークなテロワールを探り、エトナ山の斜面で作られる魅惑的なワインは愛好家を魅了することでしょう。
著者紹介
Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)
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WSET認定 Level4 Diploma
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Wine Scholar Guild Bourgogne Master-Level
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DWG認定ドイツワイン上級ケナー
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JSA認定 ワインエキスパート
アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。