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2016年7月現在、工務監督の採用意欲はさらに高まっています。今回は、旭海運株式会社で工務監督としてご活躍の【吉本 成(よしもと しげる)さん】に、乗船のお話から、船の安全を支える工務監督の仕事について、やりがいだけでなくご苦労されていることについてもじっくり伺いました。

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旭海運株式会社
工務グループ グループリーダー代理
工務監督 吉本成さんインタビュー

海辺で育ち、自然と船会社へ

キャプラン佐々木

本日はお忙しい中、ありがとうございます。吉本さんは工務監督としてご活躍、管理職でもいらっしゃいますが、まずは船の世界に入ったきっかけからお伺いできますか。船への想いもぜひお聞かせください。

吉本さん

理由は単純で、外国に行けると思ったからです(笑)。
船員になると9ヶ月船に乗ったら3ヶ月は休暇だと聞いていたので、9ヶ月分の給料を持って外国に遊びに行けると思いました。

旭海運株式会社 工務グループ グループリーダー代理 工務監督 吉本成さん

旭海運株式会社 工務グループ グループリーダー代理 工務監督 吉本成さん

広島の宇品、海辺に育ったので、船が行ったり来たりするのをいつも見ていて、海外を見てみたいと水産大学校を選び、ごく自然に船会社に入りました。当時は景気が良くなく、誰でも船会社に入れる時代ではなかったのですが、会社から一級の免状を取れば採用すると言われ、昼間は一生懸命勉強して夜はアルバイト。そして無事試験に合格、アルバイトで貯めたお金で海外に遊びに行ってから入社しました。

一等機関士まで15年くらい乗っていました。船で仕事(海上職)をしていたら、陸上勤務の辞令がおり、「あぁ自分は陸勤(陸上勤務)になるんだ」と思いながら、自然の流れで工務監督になりました。3年前に海上職の辞令発令があり、今度は機関長として乗船して現在またここで工務監督として仕事をしています。

キャプラン佐々木

学生時代に見ていた船・考えていた船と、職業として選んだ船の違いをお聞かせください。

吉本さん

何しろ船の大きさに驚きました。300メートルくらいあって船ってこんなに大きいんだと思いました。タクシーで岸壁に着いてタラップを上がる前、自分が乗る船を見上げた瞬間のことを今でもよく覚えています。乗船して明石海峡を通りオーストラリアに向かう船のブリッジ(操縦室)の中で、自分が乗っている船がとてつもなく大きくて海が小さいとさえ感じました。迫力と言うか言葉ではうまく言えないのですが、圧倒されてしまったと言うか、舵を取るときに足がガタガタ震えていましたね。

当時は近代化船 航機両用教育を受け、元々はエンジニア(機関士)ですが、航海士として乗船されたそうです

キャプラン佐々木

船での仕事、生活はいかがでしたか。

吉本さん

最初は驚きの連続で。学生の頃とは全く違いました。今は混乗でフィリィピン人船員と乗っていますが、当時は全員日本人で、よく怒られましたね。往路11日~12日、往復して約1ヶ月。船を降りてまた乗船してを繰り返し、3ヶ月すると慣れてくる、6ヶ月するとわかってくる。エンジニアとして船の様子が見えてきて、整備が必要なところが分かるようになってきました。仕事中でも飲んだときでも先輩や上司から同じ話を何度も聞かされて、しまいには自分の経験のように喋れるようになるんです。でもそれが役に立つ、実際にそういうことが起こるんですよ。

キャプラン佐々木

船での楽しかった話を教えてください。

吉本さん

当社の船は、鉄鉱石、石炭を運んでいまして、主にオーストラリア・ブラジル・カナダから積みます。インドネシアでも若い石炭が取れるのですが、そのまま日本に持ってくるので、航路としてはあまり面白くないんですね。ブラジルの石炭はヨーロッパに持って行くので、この航路に乗れると嬉しかったですね。ブラジルからヨーロッパへ行く航路は往復で4ヶ月、これを2航海したら休暇で、今度の休暇ではどこへ行こうかと考えていました。

今は荷役設備が良くなったので、荷役中の上陸はなかなか難しくなりましたが、10年くらい前は荷役がゆっくりだったので、船を降りてゴルフに行ったという話を聞いたり、加古川に入ったときには、三ノ宮が近いので飲みに行ったりして神戸の街を楽しんだこともありますね。

キャプラン佐々木

船乗りさんはモテルと聞きますね(笑)

吉本さん

昔は良かったんでしょうね。

お客様の大切な財産を運ぶという使命

旭海運株式会社 工務グループ グループリーダー代理 工務監督 吉本成さん

キャプラン佐々木

一転して、今度は厳しい話をお伺いできますか。

吉本さん

危険な事故はどうしてもあります。いくら気を付けてもあります。鉄板の下は海、大きな船でも、特に冬場の北太平洋はものすごく時化る。風を感じて、時化を感じます。実際に見て、実際に聞いて、実際に触って、実際に携わる。

気象だけでなく船もそうです。我々はお客様の大切な財産を運んでいます。その財産と生命がこの船の中にあって、万が一の時は全て自分たちで対応、対処しないとならない。乗組員がいて、それぞれに家族がある。長い航海で船の中にはお医者さんもいない、その中で解決、完結することを考えます。

船は造船所によっても出来が違うし、ついている機器も違います。我々の仕事は交代するので、いつも同じ人が見続けるわけではないんですね。今の自分には当然わかっていたことが、引継ぎの際の些細な漏れで大きな事故に繫がってしまう。20ミリの鉄板も割れる、そこから海水が入ってきたら、鉄板の塊の船だって折れることもある。北太平洋でエンジンが止まったら終わりです。船は休むことなく2万馬力のエンジンが動き続けていますから、船齢が上がれば事故に繫がる可能性も高くなる。

キャプラン佐々木

人間と同じですね。

吉本さん

そういうことです。知らない(経験が浅い)と何でもないけど、年を取る(キャリアを重ねる)と、恐ろしさが分かってきて恐くなります。そうして今は工務監督として船の安全を守っています。

キャプラン佐々木

今度は工務監督の仕事について聞きかせていただけますか。

吉本さん

船の保守・管理業務の他に、船は機械なので部品・船用品の手配(購買)もあります。入渠(ドック)、これは車の車検と同じで、船齢によっては大きな工事になり、だいたい10日~1ヶ月間くらいドックで修理・修繕を行います。

一人の工務監督が、担当船を3隻~5隻持って、検船(検査)、入渠スケジュールの管理・対応があり、万が一の事故やトラブルが起こったときはすぐに対処・対応します。本船側だけで対応できない時もありますので、その時はメーカーさんや業者さんと一緒になって対応します。また船は世界中を航海しているので、いつどこで何が起こるか分からない、決して船を止めるわけには行かないので、緊急時は飛んで行きます。

キャプラン佐々木

お休みも取れないですね。

吉本さん

陸上で仕事(工務監督)をしていると、長期的な計画が難しいのは事実です。旅行に行ったところで事故が起こって飛んで帰ったこともあります。家族には迷惑をかけていると思うことがありますが、安全第一、船は自分の子供と同じですから。

キャプラン佐々木

仕事の上でのご苦労をもう少し聞いても良いですか。

吉本さん

立場が違うが故に考え方や見方も異なる人に、説明してわかってもらうことは大変だと思います。机上で考えていることと実際の船の現場で起こっていることは違います。自分らはエンジニアですが、エンジニアではない人達と話すとき、それからコストと納期の問題。船を止められないしクレームは止まないしで苦労することがありますね。トラブルが起こると工務監督は会社の代表として行きますから責任は監督にある。追い込まれた状況で時間とコストをいかにミニマイズするかを考えないとならない、解決しないと何の意味もないですから。

それから自分の抱えるトラブルで周囲を巻き込まないとならないときは辛い。それぞれが担当船を持っていますからね。
自分のトラブルから悪い流れになることもあって、悪いことは重なるもので、他の船でもトラブルが生じることがあります。

同じ船でも毎回同じようにはいかない。それからエンジニアは、航海計器、船殻、塗装が弱いんですよ。業者さん、メーカーさんから話を聞いて、自分も勉強して、どう保守して行ったら良いのか“全体”が見えてくると面白くなる。例えば船齢によっても、やることが全然違う、金額面の問題だけでなく、何故それをやらないとならないのか。予算と時間管理、我々は億に近い金額を使います。責任があるからきちんと説明できないとならないし、船主さん、業者さん、メーカーさんとお付き合いして行く中で信用は大事です。

美人になった船を送り出す瞬間の気持ち

旭海運株式会社 工務グループ グループリーダー代理 工務監督 吉本成さん

キャプラン佐々木

ご苦労の中に、吉本さんの強く熱い想い、誇りを感じます。一番嬉しい瞬間をお伺いできますか。

吉本さん

ドックに入る時、船がぼろぼろになっているんですよ。要はお化粧が剥げている、海洋生物が付かないような塗料を使っているけど、ダメージだけでなく、パフォーマンス(燃費)にも影響します。

それを綺麗にブラスト(サビを取る)して、塗装してピカピカになって、コスメティックされて(笑)、試運転をして、無事完工して、キャプテン(船長)に手を振って送り出して、その時の船はむちゃくちゃ美人になっている。一番きれいなんですよ。その瞬間を写真に撮るときは本当に嬉しいですね。(半年に一回訪船、検船は一年に一回。必ずご自身の目で見て確認されているそうです)

キャプラン佐々木

むちゃくちゃ美人と言われた時の吉本さんの表情を拝見して、船への愛情を感じました。これから船に乗る人、工務監督を目指す人へアドバイスをお願いします。

吉本さん

アドバイスなんて偉そうな事は言えませんが、仕事として初めて船に乗ったときと今は全然違います。航海計器も日進月歩、通信もテレックスからファックスになり、今はインターネット、メールが使えるようになりました。

キャプラン佐々木

実は私もテレックスを知っている世代です。

吉本さん

そうですか(笑)。通信状態も今みたいに早くはない、画像のダウンロードもできなくて、10何年に比べても驚くべき変化・進歩ですよね。そんな状況・環境でやってきた経験・自負があります。若くたって自分たちで何とか解決しよう考える。風を感じる、時化を感じる、気象を感じる。紙(書類)の上、机の上とは違う。監督は勉強しないとならないし、度胸もいりますが、船が好きであればできると思うんですよ。色々な経験をする、その時に一生懸命やったら、道はあると思うんですよ。

若いときは、わからないから何べんも見に行く、自分の目で見に行く。言われていることが理解できないし、造船所から来た図面が理解できない、修理プランが来たのは良いけど自分がわかっていないから指示も出せない。わからないから見に行く、考える、勉強する。その繰り返しです。今だったらそのやり方はとても大変でもうできないと思うんです。予測を立てて見に行く、それが経験なんでしょうかね。

工務監督だからと肩ひじ張らず、あまり深く考えすぎないで、でも一生懸命に本気で、決して片手間では出来ない仕事です。結果、気が付いたらできるようになる、わかってくると嬉しい。これは今でも嬉しいです。

自分は、造船所で船の設計を学んできたのでも、メーカーでエンジンを造ってきたのでもない。エンジニアと言っても船に乗ってエンジンを扱ってきただけ。造船所やメーカーから見たらエンジンを扱うお客さんです。工務監督を経験すると船に乗っているときと立場が変わって視野が広がる、恐れることなくチャレンジしたら世界が変わると思います。

キャプラン佐々木

まだまだ伺いたい事もありますが、そろそろ時間となりました。転職支援で、船に乗っている方と話す機会が多く、船の仕事は生命が近い仕事だと感じています。吉本さんのお話の中にも生命、安全と言った言葉が何度も出てきました。単なる海や船への憧れだけではない、常に危険と背中合わせです。今日はそれを伺った上で、吉本さんのやりがいや誇りをお伝えしたいと考えました。印象に残った言葉をお伝えしてインタビューを終わりにします。

『船に乗っていても一年、陸上(おか)にいても同じ一年、生きている所は違うけど、人生の大事な一年を、良い一年にしようやと思っています』

例えばコスト面でも知恵を絞って安くする、船に乗っているときは見えない、わかりにくいことも陸上にいると見えてくることがある。始末をして無駄遣いをしないように考えて、相手に伝わる説明をすることが重要。始末一つにしても、監督になると全体の仕組みが見えてくる、わかってくる。同じ海運業界の中でも、仕事、考え方の幅が広がる。船に乗ったり降りたりする(海上職と陸上職)のは、そんなことを知る、そんな意味もあるのではないかと思っています。

貴重なお話をありがとうございました。吉本さんのますますのご活躍と、航海のご無事をお祈りいたします。

 

旭海運さんの会社情報について詳しくお伺いしました

執行役員
総務・人事グループ グループリーダー
加藤 隆様

加藤さん

現在、当社の船隊は不定期船(ばら積み船、鉱石船)15隻ですが、将来的には20~30隻に拡大します。工務監督の仕事は、船の一生に関わる仕事で、船の誕生(新造船建造)~メンテナンス(修繕・ドック)~売船やスクラップまで担当します。船舶管理は自社管理で、一人ひとりの工務監督が担当船を持っていますが、情報を共有し、技術を継承していきたいと考えています。お陰さまで今年70周年を迎えます。今後も日本郵船グループの一員として、日本の荷主様のための日本の船会社として、日本籍船による安心できる海上輸送を提供してまいります。

キャプラン佐々木

70周年おめでとうございます。旭海運さんは営業の方も監督さんも皆さんがアットホームで和やかな雰囲気ですね。以前伺った社内のワインパーティも楽しそうでした(笑)。70周年のお祝いにはお酒を持ってお伺いします。ますますのご発展をお祈りいたします。

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専任コンサルタント佐々木正己

専任コンサルタント 佐々木雅美

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